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【第13回目】パワーハラスメント

【第13回目】 パワーハラスメント

(宮崎日日新聞社 細見コラム「よりよく生きる」2022年3月16日掲載分)

 

厚生労働省の調査によると仕事や職業生活に関する強いストレスを感じる労働者の割合は近年50%以上で推移しています。また業務による心理的負荷を原因とする精神障害等による労災申請件数は年々増加傾向にあり、働く人のメンタルへルスを支援していく取り組みは単に個人の為だけではなく、企業にとっても生産性の低下に直結するため喫緊の課題となっています。

 

ところで心理的負荷の原因としては従来から職場の人間関係が最も多かったのですが、とりわけパワーハラスメント(以下、パワハラ)が多く、2020年6月から「労働施策総合推進法」にパワハラ防止対策が加わりました。これにより大企業には同年同月から、中小企業には今月からハラスメント防止措置が義務化されたところです。

 

パワハラとは職場において優先的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲をこえたものにより雇用する労働者の就業環境が害されるものと定義されています。優先的な関係とは職務上の地位が上位の者だけではありません。職歴が長い者、同僚・部下であっても業務上必要な知識や豊富な経験を有し、その人の協力が得られなければ業務の円滑な遂行が困難な場合や、同僚または部下からの集団による行為で、これに抵抗または拒絶することが困難な場合なども含まれます。そしてパワハラは表に示すように6つに分類され、それぞれについて具体的な説明がなされています。

 

わが国のパワハラの定義や対策、違反した場合の罰則、被害者の範囲や救済措置はILO(国際労働機関)のそれと比較するとまだまだ改善すべきところが多いのですが、「職場の3A」で述べたようにパワハラの背景にある職場の環境的課題の検証を行うことは極めて重要です。さらにパワハラ被害者への救済措置とともに加害者へのメンタル支援も極めて重要です。なぜなら加害者が行うパワハラもアディクション(嗜癖・依存)の一つなのですから。

パワハラの6つの分類(厚生労働省)