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【第12回目】ストレスチェック (宮崎日日新聞社 細見コラム「よりよく生きる」2022年3月16日掲載分)

【第12回目】

ストレスチェック

(宮崎日日新聞社 細見コラム「よりよく生きる」2022年3月16日掲載分)

 

職場におけるメンタル不調は周囲の人には気づきかれにくく、また本人自身も「否認」することがあるため、有効な対策がなされないままに事態が悪化することも多いものです。これを避けるために国は労働安全衛生法を改訂し、2015年12月にストレスチェック制度を導入した同法を施行しました。これは働く人自身のストレスへの気づきを促してメンタル不調を未然に防止するとともに、ストレスの原因となる職場環境の改善につなげていこうとするものです。具体的には事業場内の産業衛生スタッフがチェックリストを用いて働く人自身にストレスチェックをしてもらい、分析(専門業者に依頼しているところが多い)結果を本人にフィードバックし、高ストレス者や長時間労働が認められた人には希望があれば医師による面接指導を実施し、必要に応じて就業上の措置を講じるという制度です。現在のところ、この制度は50人以上の従業員を抱える事業所には義務づけられ、50人未満のところにも努力義務が課せられています。

 

しかし面接指導を希望する人は少なく、せっかくの制度がうまく機能していないのはとても残念です。これには前述した本人自身の「否認」もありますが、むしろ人事的な評価が下がることを危惧して医師面接を敬遠している人が多いようです。事業場内スタッフには厳しい守秘義務があり、ストレスチェックの結果が人事に影響することはないのですが、事業場内に自分自身のメンタル不調が知られることへの抵抗は相当強いのだと思います。

 

この問題を解決するため事業場外の専門的な機関や専門家を活用して相談指導を受けるという方法があります。当研究所では事業所からの委託を受けて高ストレス者や長時間労働者に対する面接指導を行っていますが、このような事業場外資源によるケアシステムが整備されることでストレスチェック制度はさらに有効に機能するのではないかと考えています。