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【第14回目】認知行動療法 (宮崎日日新聞社 細見コラム 「よりよく生きる」2022年4月13日掲載分)

【第14回目】

認知行動療法(宮崎日日新聞社 細見コラム 「よりよく生きる」2022年4月13日掲載分)

 

 近年、うつ病や不安障害に対する認知行動療法の有効性が報告されています。人にはそれぞれものの受け止め方や考え方があり、それに基づいて行動するのですが、認知行動療法は自分自身の考え方のクセを理解し、ストレスに対して悲観的ではなく積極的に「よりよく生きる」を実践していこうとする心理療法の一つです。

 

ここに江戸時代の小話があります。もともと海辺や湿地帯に作られた江戸の町では井戸を掘っても地下水に塩分が多く、飲み水には適しなかったことから、桶に良質の水を汲み、それを売り歩く「水売り」が商売として成り立っていました。そこに田舎から一旗揚げようと二人の若者が江戸の町にやってきました。この「水売り」を見て一人の若者は「江戸って怖いところだ。」と言って早々に田舎に帰りました。それは「水」はいつでもどこでも簡単に手に入る代物で、江戸にいると自分も価値のないものを騙されて買わされると思ったからでした。もう一人の若者は「江戸ってなんていいところだ。」と飛び上がって喜びました。それはどこでも簡単に手に入る代物で商売できる江戸の町をとても魅力的に感じたからでした。

 

このように私たちは同じ事象を経験しても、その人の考え方のクセによって気分や行動が全く違ってくるものです。早々に田舎に帰った若者は挫折感を感じ、その後は無気力になって何もできなくなってしまいました。一方、江戸の町に魅力を感じた若者は意欲的に仕事に励み、その後、一旗揚げることができました。

 

認知行動療法は自分を追い詰める考え方のクセに気づき、それ以外の考え方がないかどうかを治療者とともに検証することで、自分を追い詰めずに妥当な考え方をみつけ行動していくことを支援します。

 

紙面の都合で詳細は割愛しますが、現在では認知行動療法に関する自学自習のための書籍がたくさん出回っています。興味のある方はパソコン、スマホで検索してはいかがでしょうか。