ウエルフェアみやざき総合研究所

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【第24回目】宮崎日日新聞生活情報「ゆとり」寄稿 2022年9月14日掲載分

【第24回目】

宮崎日日新聞生活情報「ゆとり」寄稿 2022年9月14日掲載分 

よりよく生きる 24 

 

ウォーク・ドント・ラン~無理しない生き方を~

ウエルフェアみやざき総合研究所 精神科医 細見 潤

 

 私はこれまで精神科医として46年間を過ごしてきました。そして古希を半年ほど過ぎた昨年3月に精神科臨床をセミリタイアし、「ともに暮らしやすい地域づくりを目指す」というスローガンを掲げてウエルフェアみやざき総合研究所を創設しました。研究所ではメンタルヘルス相談やもの忘れ相談などの相談事業、職場のメンタルへルス支援事業、普及啓発事業、教育研修事業、そして調査研究事業を5本柱としていますが、この「よりよく生きる」の執筆は研究所の普及啓発事業として位置づけ、私が精神科医としてこれまで経験したこと、獲得した知見を中心に皆さまにお伝えしてきました。

 

 今、私は母に倣って、私のライフレビューをコミカルな小説風に仕上げて出版しようとしています。その本のタイトルは「ウォーク・ドント・ラン(急がば回れ)」で、これは今から半世紀以上も昔、私が高校生の時にハマっていたベンチャーズの大ヒット曲のタイトルです。

 

 まっすぐに突き進むことなどできるはずもない。行き当たりばったり、その時々で右往左往しながら、今、できることを誠実にしていく。「まあいいか、人それぞれ、だからどうした」と健康的に開き直り、そしてそれで十分だと自分に納得する。これが無理をしない生き方であり、心の健康にとってとても大切なことだと思っています。 

 

 私が宮崎県精神保健福祉センターで仕事をしていた30年ほど前に、精神障害者のリハビリテーションをテーマにしたシンポジウムを開いたことがありました。その中である統合失調症の患者さんがこう言いました。「私たちにとってのバリアフリーとは無理をしないで生きていける社会です」と。それは研究所のスローガンに一致するものであり、彼らに限らず、きっと私たちすべての人にとっても必要なことだと思っています。

 

 最後にこのコラムをご愛読いただいた読者の皆さまには心からお礼を申し上げます。1年間、本当にありがとうございました。